皆さんは五十嵐大介という漫画家をご存じでしょうか?2019年には『海獣の子供』が STUDIO4℃ にて映画化され話題を呼び、その独特で美しく、どこかノスタルジーのある世界観に魅了された人も多いのではないでしょうか。
今回は今大注目の五十嵐大介の素晴らしさとそんな五十嵐作品の中から私がオススメするものをご紹介します。
目次
■五十嵐大介とは
1993年に月間アフタヌーンにてデビューし、主に自然界や自然の力のような見えない力を可視化する作風で有名になりました。
2004年には『魔女』で文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を、2009年には『海獣の子供』で第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回 文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞 しています。
〔主な作品〕
- はなしっぱなし (『月刊アフタヌーン』1994年2月号 – )
- リトル・フォレスト (『月刊アフタヌーン』2002年12月号 – )
- 魔女(2003年 – 月刊IKKI)
- 海獣の子供(『月刊IKKI』2006年2月号 – )
- SARU(描き下ろし、小学館)
- ディザインズ(『月刊アフタヌーン』2015年6月号 – )
どの作品もとても繊細かつ緻密に描かれており思わず息をのむイラストが素敵な作品です。
■五十嵐作品の特徴
①圧倒的な画力
何といっても五十嵐作品最大の特徴は、主にボールペンによる細い線で紡ぎだされる圧倒的なスケールのイラストです。か細い線を計算しつくしたかのように折り重ね水しぶきの一つ一つがまるでそこにあるようなリアリティを作り出しています。
②独特の世界観
五十嵐作品のもう一つの特徴といえば独特の世界観です。どこにでもある日常を切り取ったかの様な設定から、次第に非日常の世界観に取り込まれていきます。日本の伝承をモチーフにしたものや世界各国のおとぎ話のような世界を圧倒的イラストで表現し、それでいてSFやファンタジーではなくどこかリアリティがある世界観に落とし込んでいます。
③どこか懐かしくでも今まで聞いたことがない洗練されたストーリー
『目には見えない』でも『誰もが一度は感じたことがある不可思議』を具現化し読者に読み物として納得させることができるストーリー。超常的でありえないものを描きつつ話の骨子は常にヒューマニズムに寄っており、不可思議だけど読みにくくない。読者がきちんと自分なりの答えにたどり着けるストーリーは流石の一言です。
④魅力的な女性?キャラクター
五十嵐作品には女性主人公が多い印象です。どの女性もどこか謎めいていて、それでいてどこか人懐っこい人物像。そして強いです。
■オススメ作品
①魔女
私が一番好きな作品です。世界各国の ”魔女” が活躍するお話です。読みえた後にいろいろ考えさせられます。五十嵐大介さんの世界観がもっともよく表現された作品だと思います。上下巻読み切りでさらっと読めます。続編でないかなぁ。。
②SALU
伊坂幸太郎の小説『SOSの猿』との共作です。現代の孫悟空のお話。ストーリーがわかりやすいので五十嵐作品の入門としてオススメです。それにしても画力がすごい。
③ディザインズ
2020年2月時点での最新作ですね。全五巻でついに終結しました。かなりSFに寄ってきたなぁと思いましたが4巻以降は圧倒的五十嵐ワールドを展開し結局まんまと人間について考えさせられました。主人公のクーベルチュールに恋をしたのは僕だけではないはず。
④そらとびタマシイ
短編集です。日常の中に感じる見えない違和感を見事に具現化しています。個人的にはこれが一番五十嵐ワールドが強いかも。
■まとめ
いかがだったでしょうか。今回は海獣の子供以外の五十嵐大介さんの作品をご紹介しました。ここに書ききれなかった作品もどれもとても素敵ですので是非読んでみてください。